統合失調症の症状(陽性症状と陰性症状)について
統合失調症には幻覚、妄想、思考能力の低下、無関心など様々な症状がありますが、基本的に陽性症状と陰性症状に大別されます。統合失調症の症状について紹介していきます。
よくある初期症状は?
統合失調症の初期(前駆期)に多いのは、身体感覚の変化です。本人は、これに気づきますすが、他人にはなかなか打ち明けません。カナダで行われた調査によると、86%の人が疲労感を覚え、体の痛みやうずきが38%、頭痛が23%。また22%の人が、体を思うように動かせなくなったと感じています。睡眠パターンの変化も、初期によくみられる症状です。眠れなくなったり、逆に寝てばかりいたり、あるいは起きるのが不規則になったりします。睡眠の変化は、本人が言わなくても、一緒に暮らしていればわかります。家族が、気を配ってあげることが大切です。
陽性症状
統合失調症の本質は、思考をつなげる働きの障害
思考能力の低下
思考能力の低下の例として、わかりやすいケースを紹介します。例えばある統合失調症の患者さんに「タバコ」という言葉から何を連想するかという質問をしたとします。その人からは、「広島カープー」という答えが返ってきました。煙、灰皿、ライター、喫茶店、嫌煙権、肺がんといった答えだったら、その人の思考経路は大体予想がつくと思いますが、いきなりプロ野球の「広島カープ」だと全く想像がつきません。そこで、どうしてそう思うのかを聞いてみます。タバコの先端は火がつくと、赤くなります。広島カープの選手も赤いヘルメットをかぶっていて、頭部が赤くなっています。つまり両方とも端っこが赤くなっているがゆえに、その患者さんの脳の中では、タバコ=広島カープとなっているわけです。理由を聞けば、無理はあるものの、それなりに、何故そういう連想をしたかが伝わってきます。ただ、いつもこのような思考回路では、人との会話はうまく進まなくなってしまいます。他者と心を通い合わせるという実感から遠くなり、世間との折り会いも悪くなるでしょう。こういったな状態が続けば、遅かれ早かれ、実社会から孤立してしまいます。
妄想
さらに、統合失調症特有の症状で、脳内の生化学的変化もあります。例えば、ドーパミンの過剰がそうです。病気の原因説としては「仮説」の域を出ないのですが、統合失調症の患者さんの脳内では、神経伝達物質のバランスが悪くなっていることはわかってきています。ドーパミンは、適量であれば、意欲を高め、活動的にします。しかし、ドーパミンは一種の興奮物質なので、過剰になれば不眠になったり、病的な不安や焦燥感をもたらします。思考が飛躍しているところに不安定な気分が加わって妄想状態になり、コミュニケーションはますます困難になり、孤立感が強まります。しかし、患者さん自身が孤立状態をいいと思っているわけではありません。そこで、このような境遇を、苦しまざれに自分なりに説明しようとします。こういうとき、患者さんは大体、自分がおかしいとは思っていません。わかってくれない周りのほうがおかしい、あるいは自分に対して悪意があるから理解してくれないのだと被害的に考えます(被害妄想)。こういったプロセスをみれば、統合失調症の妄想は、けっしてデタラメで話しているのではなく、苦しまざれではあっても、本人にとってはそれなりに理屈が適っていて、合理的なものだということがわかってきます。統合失調症の人の話は、論理的かどうかではなく、そういったものをひねり出さずにはいられなかった「追いつめられた気分」という側面から受けとる姿勢が重要になります。
陰性症状
無関心・社会性の喪失