統合失調症・作業療法と芸術療法について
作業療法はよりよい生活を送る為の方法を治療を通して身につけていくリハビリで、芸術療法もその中に含まれます。統合失調症・作業療法と芸術療法について紹介していきます。
作業療法について
●レクリエーション(室内ゲーム、散歩、絵画、陶芸、木工、料理等)
●室内での作業(袋詰め、折り箱づくり、造花づくりなどの簡単な作業)
●屋外での作業(園芸、農作業等)
●ほかに、製パンや印刷、クリーニング等の設備を持ち、実際に作業を行っている施設もあります。
こうやって見てくると、就労までを意識した作業もあるように思えますが、本来の作業療法は、社会復帰に役立つ職業技能を身につける訓練ではなく、あくまで患者さんが「よりよい生活を送る」方法を、療法を通して身につけるものと考えたほうがいいでしょう。
作業療法の効果と目的について
作業療法というと、「ゲームをしたり、絵を描いたりすることがどうして治療になるのか」と疑問に思う人がいるようです。統合失調症という病気は、遊ぶ、楽しむといった、普通であれば当然すぎるほど当然な心の働き、そういった感情が起こりにくくなります。そこで、ゲームや絵画などを適して、楽しんだり、熱中したり、充実感や達成感を味わいながら健康な心をとり戻すことは、治療効果を向上させる大切なプロセスになります。なので、作業療法は無理をして参加するものではありません。自分が興味を持てそうなもの、やってみたいと思うものから始めるのが良いでしょう。作業療法では、患者さんの症状や回復状態に合わせて、たとえば次のように、いろいろな目標設定ができます。
●毎日、決められた時間に参加することで、病気のために不規則になっている生活のリズムを改善する。
●ほかの患者さんと交流をすることで、苦手としている対人関係を経験したり、協調性を学ぶ。
●1つの作業をつづける中から、持久力や集中力を学び、まとまりにくい思考や行動を調整する。
●作業に熱中することで、幻聴に気をとられる時間を少なくする。
作業療法の効果を上げるためには、患者さん自身が自主的に参加して、効果があらわれてくるのを実感して理解することが必要になります。そうでないと治療の意味は薄れてしまいす。しかし実際は、それほど理想通りにいきません。患者さんからすれば、すすめられて何気に始めてみたら、少しずつ居心地のよさを感じたり、作業がおもしろいと思えるようになります。ここまで来れば、効果がわかるので、次の目標にも目が向きます。しかし、このようにならなくても、ほかにも方法があるといった気持ちを忘れないようにしましょう。もし、「毎日、つまらない作業ばかりして(させられて)、何の役に立つのだろうか」と思うようなら、担当の医師や作業療法士に相談してください。また、作業ができるようになることと、病気がよくなることをイコールと考え、まるで「仕事をこなす」ように無理をして取り組むのも、治療的な意味がありません。そればかりか、強制的な作業はストレスとなり、逆効果になってしまうので、避けたほうがいいのです。統合失調症の治療は、不安や悩みやストレスに「耐える訓練」ではなく、不安や悩み、ストレスなどを「自分でうまく受け止め、自分なりに解決する方法を体得する」ところに目的があることを認識しましょう。
芸術療法について
作業療法の中には、次のような、「芸術療法」と呼ばれるものがあります。
●絵を描く。
●陶芸作品を作る。
●コラージュ(切り貼り絵)を作る。
●俳句や連句をつくる。
●歌を歌う。
●心理劇を演じる。