

統合失調症・自宅療養について
自宅療養には医療的なケアが必要で、その為には通院と服薬を続けていく必要があります。統合失調症・自宅療養について紹介していきます。
自宅療養について

●いつまでもぶらぶらと、何をしているのかわからない家族がいる、という近所の人の噂。
●もっと「早く」治せるのではないか、その医者の見立ては間違っているのではないか、という親類縁者の心配。
●こんなに時間をかけても答えが出ないのなら、別の大きな病院に移ったほうがいいのではないかという知人からの進言。
それぞれの人の立場や気持ちからすると、何気ない一言かもしれません。しかし、患者さんの回復のプロセスや、養生や治療の見通しといった視点がないため、こういった一言はよくないほうに作用することが多いです。つまり、目に見えてよくならない患者さんを責めたり、医師の技量の責任にすることは、患者さんに焦りを与えますし、医師への信頼感を揺さぶり、家族を不安に陥れる作用をしてしまいます。そういった事の積み重ねで、いつの間にか病院にこなくなってしまう患者さんが多い一面があります。患者さんとともに、この病気とつきあっていく家族の人には、病院に通うことは(つまり医師とのつながりを保つことは)治療の命綱であるという認識が必要です。患者さんがなかなかよくならないことへの疑問、薬の副作用への心配など、いろいろなことがあると思いまが、こういった疑問や迷いは、遠慮なく医師に伝えましょう。医師は、家族からの話を待っていますし、お互いのやりとりから信頼関係や協力関係がつくられていけば、患者さんの自宅療養を支える力になるはずです。
怠薬を説得する方法

●副作用がいやだから
抗精神病薬を飲んでいると、副作用で口の渇き、便秘、眠けなどが起こります。また、太って困るというのも、薬をやめてしまう理由の1つです。このような場合は、「副作用と病気が再燃するのと、どちらが困るか」の損得勘定でアプローチするのも、案外、有効です。病気のつらさを、最もよく知っているのは患者さん自身だからです。説得するときのヒントにしてみてください。また、患者さんの精神状態が悪い場合にも、副作用を強く訴えることがあります。このようなときは、すぐに医師へ連絡をとってください。医学的な対応が必要になることがあります。
●薬への知識が足りなくて
「もう具合がいいから飲まない」というようなケースです。抗精神病薬には、「治療薬」だけでなく、再発を防止する「予防薬」としての役割もある点は、患者さんだけでなく家族の人にも認識が必要です。
●病気への偏見から
「頭の薬を飲んでいると、いつまでも精神病みたいでみっともない」という患者さんがいます。本人の中にも精神病に対する偏見があって、自分にそんな重大な障害があることを認めたがらず、統合失調症という病名を告げられても否認している場合などが考えられます。病気を受容できないわけですから、頑固な抵抗をみせます。
●本人に病識がないため
前の理由とも関連しますが、「自分は精神病だとは思わない。だから抗精神病薬はいらない」という患者さんです。病気であることを認識(病識)できないでいる状態です。このような場合は、医師や家族やスタッフが誠意を込め、言葉を尽くし、正攻法で説得することが大切です。また、よく眠れない、神経質といった問題点を患者さん自身が認めている場合は、そこに働きかけ、段階を追って説明していくのもいいでしょう。
●精神状態が悪いため
すでに怠薬があって、病気が再発している可能性があります。「薬に毒が入っている」といった幻聴が聞こえたりする場合は、周囲も気づきやすいですが、生活全般のリズムがくずれ、不安定になっているため、ということも考えられます。生活が乱れているのに、薬だけきちんとは飲めないわけです。なるべく早く、医師のもとで適切な治療が必要になりますが、このような患者さんは、往々にして通院状態が悪く、薬を再開しても続かずに、少しずつ事態が悪化していくこともあります。生活面からの改善も必要になります。
●生活の変化のため
引っ越しや結婚、家族の病気(その結束、世話をしてくれる人がいなくなる)など、生活環境の変化が怠薬の引きがねになることがあります。医師、スタッフ、家族など周囲の人は、変化があったときは注意する必要があります。
