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統合失調症・電気痙攣療法について

電気痙攣療法はかつての電気ショック療法のイメージもあって否定的に考えられがちですが、緊急時の治療や薬が効かない人には今でも有効です。統合失調症・電気痙攣療法について紹介していきます。

電気痙攣療法について

電気痙攣療法
電気痙攣療法(けいれん)は、かつて電気ショック療法と呼ばれていました。躁うつ病や統合失調症に効果があったため、薬物療法が登場する前までは、精神科における重要な治療法でした。しかし、「電気を通す」「ショックを与える」といった治療には、恐怖感を持つ人も多く、また、かつての電気ショック療法につきまとっていた暗いイメージも残っているため、否定的に考えられることが多いです。しかし、電気痙攣療法は、いまでも、以下のような一部の患者さんにとっては効果的な治療法です。

●自殺行為などを何度も繰り返す患者さんを、緊急に治療しなければならない場合。
●副作用などが強くて薬が使えない患者さんで、電気痙攣療法のほうが効果が高いと考えられる場合。
●その患者さんの、これまでの治療歴から、電気痙攣療法のほうが効果的であると判断できる場合。
●患者さんの希望がある場合。


電気痙攣療法は、いまでは「無痙攣通電療法」と呼ばれ、以前の電気ショック療法にあった全身痙攣発作が起こることはありません。内科医や麻酔医が患者さんの全身を管理し、熟練した精神科医が手術室で行う安全な方法です。

電気痙攣療法の方法

電気痙攣療法は、手術に似ていて、以下のように行われます。


●医師は事前に、患者さんや家族に、電気痙攣療法のメリット、デメリットを説明し、理解と同意を得ます。
●患者さんに対しては、各種血液検査や心電図、胸部X線描影、頭部CT撮影などの検査を行い、治療を受けるのに問題がないことを確認します。
●療法を行う前には絶食し、点滴をします。
●手術室、またはそれに準ずる部屋で行うので、予期しない変化が体に起こってもすぐに対応できます。
●全身の状態を、血圧計、体温計、心電図、脳波計などで測定し、管理チェックしながら行います。
●呼吸管理は、酸素マスクで行います。
●はじめに、10分程度の効果がある麻酔薬と、痙攣を防ぐ筋弛緩薬を静脈注射します。
●精神科医が、患者さんの額の部分に約100ボルトの電気を約5秒間通電します。
●痙攣は起こりませんが、痙攣が起きた時と同じ変化が脳に起こっていることを脳波計で確認します。
●通電後、約1時間ほど患者さんは意識がもうろうとした状態になります。その間、医師や看護師が経過を観察しています。患者さんの目が覚めて、意識がはっきりしてくれば終了です。


このような治療を、週に2~3回行い、それを3~4週間続けるのが通常のパターンです。電気痙攣療法は、医療機器や技術の進歩もあって安全な方法であり、中には、薬よりも効果が期待できる患者さんもいます。ただ、上記にもあるように否定的に考える人が多く、医師からは積極的にすすめにくい現状があります。また、緊急を要する患者さんは、多くの場合が症状が重く、治療について検討することが不可能なため、どう説明し了解していただくかという、インフォームド・コンセントが困難な状況もあります。以上のような問題をクリアできて、電気痙攣療法を希望する場合は、すべての病院で実施しているわけではないので、主治医と相談することをおすすめします。