統合失調症・リハビリテーションについて
リハビリテーションには「社会復帰」の意味があり、統合失調症の大切な治療プログラムです。統合失調症・リハビリテーションについて紹介していきます。
リハビリテーションについて
●エネルギーを蓄える
健康な人でも、新しいことを始めるには気力や体力が必要です。統合失調症の患者さんでいえば、よく眠ったり、気持ちにゆとりを持つことが、心のエネルギーを蓄えるために大切なことです。音に対してピリピリと敏感にならなくなり、周囲に少し目が向くようになったら、リハビリテーションに入る準備はできたと考えていいでしょう。
●好きなこと、得意なことから
統合失調症の患者さんには、対人関係が苦手という人が多いです。相手の気持ちや言っていることが理解できない、自分の思いを上手に伝えられないといったことからギクシャクしてしまうのですが、人間関係というのは脳内の複雑な情報処理が必要なので、回復期にある人にとっては、かなりエネルギーが必要になります。それよりは、自分が好きだったこと、得意だったことを復習を兼ねてやってみることをおすすめします。好きな音楽を聞いたり、ゲームをしたりして、だんだん雑誌や新聞が読めるようになり、簡単な買い物をしてみる、といったステップを踏むのもいいでしょう。何げない日常の作業にも、慣れるための時間は必要です。今までやっていたことが、またできるようになると、ほかの人との関わりにも、だんだん気持ちが向いていくでしょう。
●相談をしてみる
リハビリテーションを始める場合、患者さんや家族の希望だけに沿って目標を決めると、無理をして、高い目標になってしまいす。どんな福祉サービスが利用できるのか、どういった医療的かケアで患者さんを支えなければならないのか、といったことを、担当の医師や精神保健福祉士などの専門家に相談してみましょう。リハビリテーションには、本人や家族の意欲だけでなく、病気の状態を見極めることも必要です。その上で、患者さんや家族、スタッフが一緒に話し合って、すぐにできそうな近い目標と、将来的にかなえたい目標を決めます。こういった話し合いの中から、協力して支えていける仕組みをつくることができたらベストです。
●居場所や人間関係
少しずつ外の世界に関心が向いてくるにつれて、早く社会復帰をしなければとあせる気持ちが出てくることが多くなります。こういったときは、自分が安心して居られる場所や(自宅にくつろげる場所があることは、とてもよいことです)、無理をしないでつきあえる仲間を持つことは大切なことです。デイケアや、作業所のようなリハビリテーションの場を、自分の居場所として使えるようになり、そこでの交流が友人づくりにつながれば、可能性はさらに広がるでしょう。
●就労プログラムの利用
日常のことが、徐々に出来るようになって、自分の居場所ができ、仲間を持つようになると、働きたい、いままで以上のことがしたい、と思うようになります。患者さんや家族にとって、「仕事ができるようになること」は、大きな目標でもあるでしょう。いままでの遅れをとり戻したいと、思いつめることもあるかもしれません。しかし、うまくいけば自信につながりますが、あせって失敗すると、大きなストレスになり、再発を招くことにもなりかねません。まず慣らし期間を設けて、「毎日きちんと通えるようになる」「人と打ち解けられるようになる」といった身近なところから目標を設定してみましょう。デイケアや作業所、生活技能訓練などの就労プログラムを利用すると役に立つでしょう。また、いきなりフルタイムで働くのではなく、短時間の仕事から始め、疲れぐあいを確かめることも必要です。働く意欲は大切なので、最初からあきらめてしまう必要はありません。ただ、せっかくの再出発です。あせらず無理のない順にしましょう。