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統合失調症

統合失調症は、珍しい病気ではありません。

統合失調症は、心の病のひとつです。2005年(平成17年)の厚生労働省患者調査によると、日本では約76万人の患者さんが統合失調症の治療を受けています。さらに、医療機関を受診していない人を加えると、統合失調症の人はおよそ100万人に上ると考えられています。よく発症する年齢は思春期から20代半ばといわれていますが、それ以降の発症も多く、年齢的には大体15~45歳。また、一生の間にこの病気になる有病率は、日本と外国との差はなく、全世界的に0.7~1.0%。つまり、100人に1人は統合失調症にかかる可能性があることになります。統合失調症はけっして珍しい病気ではなく、誰もがかかる可能性のある病気だといえます。当サイトでは、症状や治療法等、統合失調症に関するさまざまな情報を紹介していきたいと思います。当サイトが患者さんや家族の方の毎日をよりよいものとするためのガイドとなれば幸いです。

統合失調症はどのような病気なのか

考えや行動がまとまらなくなる

考えや行動がまとまらなくなる
「統合」とは、思考や行動、感情などを1つの目的に沿ってまとめていく能力のことをいいます。「失調」とは、一時的に調子をくずしているものの、回復の可能性があることを示しています。つまり「統合失調症」とは、直接の原因がないのに考えや気持ちがまとめることが出来なくなり、その状態が長期間続くこといいます。そのため行動がぎくしゃくして、困難や苦痛を感じ、回復には治療や援助が必要になる病態だといえます。しかし、目的に沿ってまとまった考えや行動がとれなくなることは、病気ではない健常者にもありえますし、うつ病や引きこもり、適応障害などの場合でも起こります。そこで、診断を確定するために、幻覚や妄想(統合失調症の基本症状)等があるかどうかで判断することもあります。

統合失調症の症状

日常生活がスムーズに営めなくなる

統合失調症の症状・対人関係
幻覚や妄想は、統合失調症の初期の頃によくみられる症状ではありますが、この病気特有の症状ではありません。それよりも、統合失調症を特徴づけるのは、日常生活そのものが不安定な状態になってしまう「生きづらさ」といえるでしょう。統合失調症の人が、最も困難を感じるのは、対人関係です。例えば、複数の相手と話し合う場合、話の内容や何が言いたいのか、その場の流れがどうなっているのか、自分はどの様にふるまうべきなのか、といった認識が困難になります。そのために、常識的な応対ができなかったり、ときには的はずれな言動をしたりします。また、服の着がえや料理など、一連の流れのある作業を、自然に順序立てて行うことも苦手になってしまいます。順番を忘れたり、手順を思い出せなくなるのです。日常生活がスムーズに営めなくなる、その苦しさを理解するところに、統合失調症を知る鍵があるといえでしょう。

陽性症状と陰性症状

異なる2つの症状のタイプがあります

統合失調症・陽性症状
統合失調症のもう1つの特徴は、症状に「陽性症状」と「陰性症状」の、2つの基本的な型があることです。陽性症状とは、幻覚や妄想、興奮状態などです。その症状は、誰の目から見ても「精神を病んでいる」とを思わせ、狂気を感じさせます。一般の人は、統合失調症の症状というと、まずこの陽性症状を思い浮かべることが多いようです。一方の陰性症状は、自発性が乏しくなる、感情の表現が鈍くなり、人付き合いが苦手になる、精神の柔軟性が失われる、といった状態をいいます。1日の大半をぼんやり座り込んで過ごす無為自閉の状態になるケースが多く見られます。統合失調症では、病気の初期は陽性症状があらわれ、長期になるにつれて陰性症状になっていく傾向が見られます。また、統合失調症になってしまう根本的な原因は完全には判明していませんが、いくつかの研究によって明らかになりつつあります。